2009年4月10日 (金)

サクラと母

今年の桜は長いですね。一度花が咲いてから寒くなったのと、4月に入って風のない好天続きが、例年にない花見の季節を充実させています。僕の地元八王子の富士森公園(ここは花より団子だけど)、浅川沿い、井の頭公園、息子の幼稚園がある国立駅前、講師をしている東洋英和女学院キャンパス、最寄りの十日市場駅周辺など、それぞれに心弾む、あるいは和む光景だ。・・思えば母が亡くなってもう3週間がすぎた。あれほど健康そうだった母が肺がんで。妹と交代で看た80日間の入院は長いようでもあり短いようでもあった。幸いさほど痛いの苦しいのということはなく、亡くなる10日位前まで話や食事ができ、それなりの覚悟や心の準備も徐々にできたので、まずまずの「おくり」だったように思う。不慣れな喪主もなんとかつとめ少しほっとしている。
病院で喜寿を迎えたが、5人兄妹の末っ子で一番先に逝くなんて、本人はさぞや無念だったに違いありません。当然のように退院したらあれしたいこれしなきゃ、と入院当初の1月、酸素吸入器が取れず、徐々に傷心と諦めへと向かった2月、僕ら兄妹が引き継ぐべき家の細々した事項の伝達をやり遂げた3月。最後まで腐らずしっかり生きた母は立派だったと思う。僕が幼い頃のアルバムなど見せながらぼそぼそ語ったこと、金井家の将来を案じつつ?の最後の日々は短くも充実していました。
やはり父をなくした時とは明らかに何かが違う。そのなんとなくではあるが心にぽっかり空いた穴を、少しではあるが埋めてくれる桜〓ではある。

2009年3月 9日 (月)

話題の「おくりびと」観ました〓

話題の「おくりびと」観ました〓
シンプルながら情感に富んだ映画でした。テレビでの紹介でもチラと見た納棺の儀式は美しく、事務的でなくあんな風にしておくれたなら、おくる側もおくられる側も気分が随分違うだろうなと思った。高給とはいえ蔑まれた職業であったらしいこと、またその職業ならではの苦しみ、非難などが簡潔に描かれ、にもかかわらず、おしまいには、人間の新たな旅立ちをサポートする、気高く崇高な職業、と観衆に感じられるのが素晴らしい。コミカルな部分も随所に織り込まれ、暗さ一辺倒にもならず飽きもまったく感じなかった。言わば死人で喰ってる職業の人たちが、鶏をがつがつ食べつつ、自嘲気味に「困ったもんだ」なんていうシーンには思わずニタニタ。美男でノーブルな感じのもっくんの真摯な態度もぴったりはまり役、慣れきった納棺屋のオヤジの風情とオケのチェリストから転身した新米納棺師の対比的なやりとりが全体に面白く描かれ、あっという間の2時間でした。死は決して終着点ではなく新たな旅立ちのために通過する門だという下りから、英語タイトルはDeparture(
出発)だというのも頷けた。主演のもっくんが原作本に感銘を受け監督に持ち込んだというおくりびと、自身も何度となく現場に立ち会い数ヶ月の修行をしたという。またチェロを弾く格好も堂に入ったもの(ビブラート以外はね)、まじめで熱心だという彼の性格がよく表れた作品です。誰もが経験する題材にもかかわらず、今までさして気にしたこともない職業に光をあて、しかもアカデミー賞まで取ったことで、この日本的なセレモニーが世界に知られたことは喜ばしいことと思う。音楽家的な感想としては・・恐らくはラベルの亡き王女のためのパバーヌがベースになっているとおぼしき、久石譲のチェロの挿入曲も、地味ながら落ち着いた佳曲で、新しいレパートリーになるかな、なんて思いながら聴き入りました。グノーのアベマリアやブラームスの子守唄も挿入され、さらにチェリストから転身した、なんて台本も、欧米ではかえって身近に親しみをもって迎えられる一因ではあるまいか。この映画のヒット以来納棺師の希望者も急増しているとか。立川で朝9:45
からでしたが7割位入ってました。まだの方は是非ご覧になってみてはいかが?
最後に私事ながら、恐らくは・・近々母をおくる身として、印象に残る点多々ありました。

2009年2月20日 (金)

エディット・マティス女史の公開講座

久々です。今日は1年ぶりに、ドイツオペラや歌曲の分野で大活躍したエディット・マティス女史の公開講座をのぞいてきました。学生時代からリートといえば男性ならフィッシャーディスカウ、シュライアー、プライ、女性ならシュバルツコップ、アメリンク、マティスあたりを聴き、参考にしながら勉強してきました。20代にはシュバルツコップの公開講座を受けた経験もあります。勿論ピアニストとしてですが。
今日は比較的若い声楽家を指導するお元気そうなマティス女史を懐かしく眺め、美しく年を重ねてきた大歌手を心の中で称えました。
市ヶ谷ルーテル教会で6人3時間、ばっちりのレッスンでした。フレーズの行き先を常に考えて停滞しないように、とか、大事でない言葉に時間をかけたり、発音をはっきりしすぎたり、大きく歌いすぎないように、などのアドバイスを受けていました。
忙しい毎日に追われていると、ついつい自分が勉強するのを忘れがちですが、久々の生徒気分はやはりよいものです。教えてばかりいると、自分の引き出しがなくなっちゃうので、時々自分にカツを入れることは大事だな、と思いました。 この講座はこの数年伴奏をさせて頂いているバリトン歌手の小松英典氏の友人ということで開催されています。氏との今年の共演は、5/29サントリー小ホールで、詩人の恋ほかを演奏します。

2008年12月 8日 (月)

直近!【コンサート速報】

すっかり忘れられたこのブログのコーナー。
もうこの年末は20日のディナーショーしかないのか?と失望されていることと思います。
いえいえあります。皆さんスケジュール帳のチェックを!

12日(金)7時 金井信ピアノコンサート 三芳町竹間沢公民館 ゲスト山口なをみ
     問い合せ:049(259)8311 ¥500!

16日(火)7時 吉田千鶴子(sop)トゥインクル・ナイト港南区民文化センター「ひまわりの郷」(上大岡)
     問い合せ:045(788)2755 ¥3000

18日(木)7時 平松混声合唱団クリスマス・コンサート横浜みなとみらい小ホール【完売】

24日(水)2時 山口なをみクリスマス・コンサート武蔵野公会堂(吉祥寺)
    問い合せ:03(5936)7319 ¥3000

2008年5月15日 (木)

小原流盛花( モリバナ) まつり

昨日神戸入りしました。まだ朝方の東京は寒さが残る感じでしたが、関西に向かうにつれお天気に。今日は生け花の小原流の盛花まつりが神戸であり、久々にテノールの錦織健さんとのステージ。110年の歴史ある小原流。創始者小原雲心の創案した盛花(モリバナ)という形式から来ている名前とか。東灘区にある神戸の本拠地、盛花記念センター屋上に300人入れる巨大テントを張って仮設舞台をつくりピアノを運び込んでの本番。広大な敷地に緑は溢れ、いかにも、という立派な会場。沖縄から運んできたというフェニックスだかソテツだかもあり南国風の風情も。下界には神戸の街が見渡せよい気分。会館内部にも岩をふんだんにつかい、僕は思わずザルツブルクのフェルゼンライトシューレ(コンサート会場)を思い起こしてしまいました。
そんなさわやかな午前中からの催し、われらがテナー錦織さんとのステージ。さくらさくら、椰子の実、からたちの花に加え、生け花に因んでという訳でもありませんがプログラムにはない宵待草や落葉松を加え、更に最近のテノールの定番誰も寝てはならぬ、君と旅立とうなど。そして僕が伴奏者の時はいつもそうするように、スペシャルプログラムのデュエットコーナーで「忘れな草」&「オーソレミオ」。忘れな草では巧みな錦織さんのトークに続き、前奏からいかにも自分が歌い出す素振りをして、でも実際は僕が弾き語りをする、という趣向にお客様はびっくり〓&大喜び。
共演者のいい所を引き出そうとしてくれる心遣いはベテランの余裕というものでしょうか。感謝です。 昨日4才になったばかりの息子の風邪が長引き、僕もうつったか、痰が切れず、歌うには最悪のコンディションでしたが、昼頃には恥ずかしくない程度には回復、お客様には想定外の嬉しいハプニングとなりました。
それにしても朝6時から起き、9時には楽屋入りして体調を整える錦織さんには頭が下がります。ギリギリまで寝てる僕とは大違い。スターになっても真剣勝負に変わりはありませんからね。書き仕事も多く、不規則の極みのような生活の僕には、到底できることではありません。
ともあれ久々の共演、いつか皆さんにもまた聴いて頂く機会があるといいなぁ。

2008年5月 6日 (火)

シネスイッチ

シネスイッチ
譜めくりの女は、このシネスイッチ銀座で、確か19日まで上映中。

2008年5月 4日 (日)

譜めくりの女

譜めくりの女
話題作に別に興味のない僕が、連休中の今日、珍しく映画を見た。やはり話題にならなさそうなタイトル。その名も「譜めくりの女」フランス映画だ。音楽映画らしきものは一応押さえておこうという気持ちからだ。
主人公メラニーは小さい頃、あるピアノの試験中、一人の試験官の女性ピアニストが、ファンにサインを求められ応じる姿を横目にし、自分の演奏をよく聴きもせず、ないがしろにされてる、と感じる所から始まる。
このことがもとで演奏に失敗したメラニーが、後年このピアニスト、アリアーヌの譜めくりを担当することになり、彼女に復讐する物語。
精神的に弱い面のあるアリアーヌに次第に頼りにされるメラニー。アリアーヌの息子や旦那、共演者をも巻き込みながら、自らの手は最小限しか汚さずに、確実にアリアーヌをおとしめて行く静かな復讐劇。ランス映画にありがちな言葉の少なさと不安定なBGMで、観る者の想像力を刺激する。
出演者も少なく大きな展開もないが、女の恐ろしさを味わうにはまたとない(笑)、不思議な音楽映画で、僕は結構楽しめました。 ただ、演奏家である僕から言わせたら、これほど譜めくりの人に依存しているピアニストは、う〜ん、いないかな?
譜めくりが主役の珍しい(そしてちょっと嬉しい)地味な映画ですが、興味のある方は銀座山野楽器裏のシネスイッチへどうぞ。もうすぐ終わりかも。

あしたは昼間新宿で親子を対象としたイベントで、リコーダーの柳沢姉妹とのステージです。

2008年4月21日 (月)

札幌コンサートホールKitara 大ホール

札幌コンサートホールKitara<br />
 大ホール
2000人収容の素晴らしいホール。ここで演奏できることは東京のサントリーホール、大阪のシンフォニー、京都会館、北九州芸術劇場などと共に、演奏家としては幸せの極みだ。ちなみに僕はサントリー大ホールだけはまだない。

室蘭市文化センター

室蘭市文化センター
1300人収容の45年もの。2階両側にわずかに席があるが、ほとんどが1階席。長〜いスロープが見事。新日鉄の鉄工業で栄えた町。石炭の積出港でもあったとか。今は湾を結ぶ白鳥大橋ができて10周年が話題らしかったです。焼き鶏ならぬ焼き豚で町おこししている、なんて話も聞きました。

2008年4月20日 (日)

札幌キタラ・ホール

きょうもいい天気!昨日テレビ見すぎて起きられず、朝ごはんは抜き。でもホテルから会場はすぐだし、リハーサル後にクラブハウスサンドが食べられたので、ああよかった。このキタラホール、響きのよいホールとして世界中の音楽家から絶賛されています。2000人が生で聴けるホールなんて本当に凄いです!今日は3階などを除いた1200人仕様の所に1100人を集めての五郎部さんコンサート。旭川出身の彼にとっては北海道は地元。もう何度もコンサートをしているので、より打ち解けた、気楽なムードのうちに進みました。僕も時々トークに加わり、お堅いクラシックの殿堂も、今日ばかりは大衆のものでした。高原列車は行く、で始まり、さくら貝の歌、山小舎の灯、琵琶湖周航の歌、リンゴの唄、遠くへ行きたい、途中青い山脈をお客様と一緒に歌い、僕のソロで沖縄メドレー(花〜涙そうそう〜さとうきび畑)、更に高校三年生、長崎の鐘などなど・・と60代70代のお客様なら思い出と共に涙なしには聴けない曲たちのオンパレード!拍手喝
采でした。アンコールにはオーソレミオのサービス、極めつけはイヨマンテの夜でおしまい。伊藤久男、林伊佐雄のファンだった母に聴いてほしかったなぁ。今日は九州共に北海道が20℃を越えたようで、ずっとシャツ一枚。夜羽田についた時の方がひんやりしました。かくて北海道2泊3日の北海道の旅は終わりました。

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